シュレリア:あの体操着って服、さすが運動する時用の服よね。
シュレリア:動きやすくて通気性も良かったし、こっちの世界でも着てみたいな。
ライナー:でも、シュレリア様って、スポーツとかしませんよね? だったらあまり意味がない服かも・・・。
シュレリア:そうね・・・。 興味がないわけじゃないけど・・・私、運動苦手だから・・・。
ライナー:現実世界でもそうなんですか! って確かに戦闘中によく転んでますもんね。
シュレリア:・・・! ライナー!?だ、だから!いつもどこを見てるの!?
シュレリア:前も言ったけど、戦闘中は敵に集中してよ! 私が転ぶところばっかり、いつも見ていないで・・・。
ライナー:え!?シュレリア様毎日転んでたんですか?俺はまだ1,2回しか見たこと無かったんですけど・・・。
シュレリア:ひぇ?・・・ま、毎日なんて転んでないわよ! そんなこと気にしている暇があったら、戦闘に集中してよね!
ライナー:す、すみません。 でも、シュレリア様を護り続けるのが俺の仕事ですから・・・。
シュレリア:・・・!!
シュレリア:も、もう・・・前にも同じ事言われたけど、その言葉ずるいよ・・・。
シュレリア:この間カルル村に行ったとき、雑貨屋で面白そうな本を見つけたの。
シュレリア:こんな仮想世界ってどうかな。ライナーにもわかるくらい簡単なお話だと思うし。
ライナー:な、なんかシュレリア様・・・最近随分がんばって本を調べているみたいですけど・・・どうしたんですか?
シュレリア:え?ラ、ライナーが遊びたいって言うから、色々情報収集してるのに!
ライナー:お、俺ッスか!?
シュレリア:前に言ってたのよ? 今回のが終わったら、他の世界でも遊びたいって。
ライナー:あ、あれは半ば強引に・・・。 本当はシュレリア様がやりたいだけなんじゃないですか?
シュレリア:そ、そんなことありません!
ライナー:は、はい!
シュレリア:最近口答えが多いと思うのですが!
シュレリア:一応これでも私、ライナーのマスターなんだけど・・・わかってる?
ライナー:は、はい、すみません・・・。
ライナー:で、一体どんなお話なんですか?
シュレリア:すっごい大人気なんだって。で、内容はホラー物。
ライナー:・・・ホラー・・・。
シュレリア:うん・・・立ち読みしたけど、挿絵が怖くて全部見れなかったくらいよ。
シュレリア:沢山のゾンビが主人公と、その連れの女の子を食べようとする話。
ライナー:・・・つまり、それを実際に体験することになると?
シュレリア:だね・・・怖いけど、ライナーがやりたいなら・・・。
ライナー:・・・読むくらいならいいけど、さすがに食われるのを体験するなんていやですよ!
シュレリア:・・・ライナーが気に入る話を探すのって、世界を救うのより難しいんじゃないかな・・・。
シュレリア:この前ダイブした時に私が着ていた水着・・・どうだったかな・・・。
ライナー:え? どうと言うと?
シュレリア:え? ・・・えと、実は・・・現実世界でも水着って着たことなかったから・・・あの時が本当に本当の初めてだったの。
ライナー:そ、そうだったんですか!?
シュレリア:うん・・・。第一紀には、プールよりも遙に広い「海」ってのがあって、みんな水着を着て泳いでいたんだけど・・・
シュレリア:私は、塔から外に出たことがなかったから・・・。
シュレリア:第二紀にはもう既に、そんな大きな海はなかったし・・・。だから、水着って初めて着た。
ライナー:・・・そうだったんですか。どうでした? 初めての水着は。
シュレリア:なんか面白い感覚だった。
シュレリア:身体にピッタリだから、裸でいるみたいで・・・ちょっと恥ずかしかったけど・・・。
ライナー:・・・で、でも・・・すごく似合ってましたよ。
シュレリア:え? ほんと? ・・・えへへ、ありかと・・・。
シュレリア:あの浴衣、結構好きなんだけどこっちでは着れないのよね・・・。
ライナー:え、どうして? 結構似合ってたし、いいと思うけど?
シュレリア:・・・そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど、あれ、着るのが凄い難しいのよ。
シュレリア:あの帯の結び方、私には絶対出来ないと思うし・・・。
ライナー:そうか・・・少し残念だな。
ライナー:サッパリ。そんなの結んだこと無いからな。
シュレリア:ええっ!? 知らないの?
ライナー:えっ!? そ、そりゃ知りませんよ。あ、でもミシャなら知ってるかもな。
シュレリア:それじゃ、ミシャに教えてもらってきて。そしたら・・・ライナーに着替えるの手伝ってもらうから・・・。
ライナー:お、俺が手伝うんですか!? いや、でも・・・それはさすがに・・・。
シュレリア:・・・え、エレミアの騎士の仕事です!
ライナー:激しく公私混同なんですけど・・・。
シュレリア:あの白いワンピース、普通の女の子が着るような服だよね?
シュレリア:私みたいな女には似合わなそうだったから、少し恥ずかしかったわ。
ライナー:そんなことないですよ。あの服、凄い自然で似合ってましたし。
シュレリア:ほ、本当!?
ライナー:本当ですよ。シュレリア様もああいう普通の服、何着か買っておいたらいいのに・・・。
シュレリア:・・・か、考えておくね。やっぱりイキナリは、ちょっと恥ずかしいから…。
シュレリア:それにしても、そろそろいい加減に塔の管理者を誰か代わってくれないかな?
ライナー:な・・・何か今、すごい爆弾発言を聞いた気がするんですけど・・・。
ライナー:やっぱり、いやなんですか・・・?
シュレリア:うーん・・・いやっていうか・・・。
シュレリア:私だって、その・・・お、女の子なんだから・・・普通の生活もしてみたいな・・・。
シュレリア:あ〜あ、誰か代わってくれる人いないかな・・・。
ライナー:カルル村に一人、塔の上の美人女将を夢見てる女の子がいるけど、さすがにちょっと微妙かな。
シュレリア:本当に!? じゃあさっそく行ってみましょ!
ライナー:いや、冗談ですって。
ライナー:第一その人はレーヴァテイルでもなければオリジンでもないですし・・・。
シュレリア:そ、そうよね・・・。
ライナー:(・・・実際の問題は、ジイさんの方があそこまで行けるかどうかなんだけど)
シュレリア:そういえば、この間デパートメントに行ったとき、ファンシーショップのお姉さんにこれもらっちゃった。
ライナー:・・・うさぎのぬいぐるみ?
シュレリア:うさこ。
ライナー:・・・う、うさこ・・・ですか。
シュレリア:ええ。私、うさこ大好きなの。って、前にも言った気がするけど。
シュレリア:ちゃんと設定もあるの。この子ね「きゅきゅっ」って鳴くのよ。好物はイナゴ。
ライナー:・・・イナゴッスか・・・。
シュレリア:きゅきゅきゅっ! きゅきゅ! (こんにちはライナー! 私うさこ!)
シュレリア:きゅきゅっ! きゅきゅきゅっ! (食べて食べてー)
ライナー:・・・。
シュレリア:・・・あ、ご、ごめんなさい。
シュレリア:ちょっと羽目を外しすぎたね・・・。えと・・・次から気をつけます・・・
ライナー:あ、いえ、全然そんな、いいんですけど。そうじゃなくてですね・・・
ライナー:俺が気になったのは、自分を「食べて」って言う動物ってのはちょっとおかしいんじゃないかと・・・
シュレリア:え・・・そうですか?
シュレリア:ばけついっぱい・・・。
シュレリア:少しドキドキしてたんだけど・・・。
ライナー:はい? ・・・ああ、スピカの合い言葉ですか。
シュレリア:ええ。ライナーがバケツいっぱいって言った時、実は結構期待しちゃった。
シュレリア:バケツいっぱいの飴なんて見たことないから。
ライナー:もしかして、食べたかったんですか?
シュレリア:食べられないと思うけど、見てみたいとは思ったかも。
ライナー:そうですか・・・。それじゃ平和になったら、バケツ一杯買いに来ますか。
シュレリア:え、いいの?
ライナー:安いから、バケツ一杯買ってもそこまで超高額にはならないでしょうからね。
シュレリア:・・・・・・そ、そう?
シュレリア:えっと、バケツの大きさがあれくらいで、猫飴の大きさが・・・・・・
ライナー:たかだか12リーフですよ? いくら買っても平気ですって!
シュレリア:・・・あ、あの、ライナー。ざっと計算してみたら、凄い額になったよ?
ライナー:5000ですか? それとも6000ですか?
ライナー:それくらい余裕ですよ。
シュレリア:えっとね、約2800粒入る計算で、合計額は33600リーフかな。二人合わせて67200リーフ。
ライナー:なんだそれくら・・・って、6万!?
シュレリア:67200だってば。桁違いの値段になっちゃったよ・・・。
ライナー:す、すみません・・・。ちょっと買えそうにありません…。
シュレリア:甲斐性無し・・・。
シュレリア:一緒に旅を始めてからそんなに時間経ってないのに、なんだかライナーとは凄くたくさんの話をしたような気がする。
ライナー:確かにそうですね・・・。
ライナー:仮想世界でも結構遊んでますからね。
シュレリア:そうね。
ライナー:結構面白かったから、もう少し長く楽しみたい気もしてますけど・・・。
シュレリア:そんなに気に入ってくれてるの? なんだか嬉しい。
シュレリア:それじゃあ、今すぐには無理だけど、そのうち少しずつ面白いお話を出来るようにしておくね。
ライナー:本当ですか!? ありがとうございます!
ライナー:でも・・・すみません、俺一人のために、シュレリア様の手をわずらわせちゃって…。
シュレリア:前にも言ったけど、私だって楽しめるんだから気にしないで。
シュレリア:それに・・・ライナーを独り占めできる大切な時間だし、私はそのことを覚えてもいられるんだからね。
ライナー:独り占めって・・・まあ、ダイブしてたら他の人間は入ってこれませんからね。
シュレリア:・・・でも、考えてみたら、今も独り占めできる時間なのよね?
ライナー:まあ確かに・・・2人きりですからね・・・。
ライナー:・・・って、シュレリア様? ちょっとくっつきすぎな気がするんですけど・・・。
シュレリア:・・・でも、こんなことみんなの前じゃ、絶対に出来ないもん・・・。
ライナー:そ、そりゃ・・・普段からこんな事してたら・・・大変なことに・・・
シュレリア:でしょ? だから、その・・・今だけは特別。
シュレリア:それにこうでもしないと、女の子として見てくれないような気もするし・・・。
シュレリア:・・・ダメ?
ライナー:そ、そんな顔しないで下さい!
ライナー:も、もちろんいいですから!
シュレリア:・・・うん。ワガママでごめんね。
シュレリア:でも、嬉しい。
シュレリア:それにしても、まさか地上に逃げたカイエルが三十年の間にあんな書庫を作り上げていたとは・・・。
ライナー:そうですよね。ってか、今の今まで誰も気づかなかったってのが凄いですよ。
シュレリア:確かに・・・。
シュレリア:でも、落ちた時に死んだと思っていたけれど、まさか教会の司祭になっているなんて夢にも思いませんでした。
シュレリア:平和ボケしていたんでしょうか? とにかく、気を引き締めないといけませんね、反省です。
ライナー:・・・シュレリア様。そんな一人で気負わないで下さい。
ライナー:これからは俺も一緒に頑張りますから。
シュレリア:・・・!!
ライナー:は、はい!!
シュレリア:これから「は」ってなんですか! 今までは頑張ってなかったんですか!?
ライナー:い、いえ・・・そういうわけでは・・・っていうか、そんな深い意味はなかったんですけど。
シュレリア:意味もヘチマもありません!
シュレリア:そもそもそんな言葉が出てくるということは・・・
ライナー:・・・それより、シュレリア様、いつもの口調にもどってますけど。
シュレリア:ひぇ!?
シュレリア:ご、ごめんなさい・・・。それじゃ、改めて・・・
シュレリア:これから「は」ってなあに!? 今までは頑張ってなかったの!?
ライナー:2度目だと深刻さも半減ですね・・・。
シュレリア:追憶の尾翼って、ライナーとミシャの思い出の場所なの?
ライナー:ええ。・・・まあ、俺は思いっきり忘れてましたけど・・・。
シュレリア:そうなんだ・・・。でも・・・羨ましいな、ミシャ。
シュレリア:私にもライナーとの思い出になるような場所、あるかな?
ライナー:え!?・・・し、使徒の祭壇とか・・・。
シュレリア:い、嫌よあんな、場所! 嫌な思い出ばっかりじゃない!!
ライナー:で、でも、シュレリア様といた思い出って、あそこかリンカーネイションしか・・・
シュレリア:そりゃELMA−DSにやられそうになったり、操られた私がレアードを誘拐した場所だからでしょ。
ライナー:言われて思ったけど、本当にロクでもない思い出しかないな、あの場所。
シュレリア:だから嫌だって言ってるの! もう、どうしてわかってくれないかな・・・。
シュレリア:強いのはわかるけど、ELMA-DSは、さすがに少し気が引けるかも・・・。
ライナー:気持ちはわかります。シュレリア様のELMAのパクリですからね。
ライナー:でも、強いんだよなぁ・・・。
シュレリア:つ、強いのはわかってるの。でも、やっぱりELMAちゃんのパクリだし。
ライナー:微妙に複雑ですね。
シュレリア:・・・そういえばライナー、なんかぬいぐるみ持ってたよね?
シュレリア:・・・どん、すけ?
ライナー:このぬいぐるみの名前ですよ。オリカが子供の頃に付けた名前だそうです。
シュレリア:・・・もしかして、オリカさんの思い出のぬいぐるみだったりするの?
ライナー:そうです。オリカが昔、クレアさんからもらって、ずっと心の支えにしてたものなんですよ。
シュレリア:そうなんだ・・・可愛いから、私も同じの欲しいかなって思ったんだけど・・・。
ライナー:えっ!? こ、これが可愛い・・・ですか!?
シュレリア:まあ、ライナーは男の子だから、ぬいぐるみの可愛さがわからなくても仕方ないけど・・・。
ライナー:いや、そうじゃなくて・・・ コイツのどの辺りが可愛いのか・・・理解できなくて・・・
シュレリア:え? それは・・・全体的にだけど、あえて言うなら・・・顔かな?
ライナー:顔!? 名前の通り、どんくさそうなこの顔がいいんですか!?
ライナー:うわっ・・・す、すみません。
シュレリア:それに、どんくさくなんかないよ?
シュレリア:だって私、このつぶらな瞳を見て一目惚れしたんだもの。
ライナー:(つぶらなっていうよりか、ただ単に目が小さいだけのような気がするんだが・・・)
シュレリア:気になってたんだけど…でも、やっぱりいい。オリカさんの思い出を取っちゃうのはよくないから・・・。
ライナー:(ってか、どうしてこんなにどんすけがモテモテなのかが不思議だよ・・・)
シュレリア:ライナー、体の具合大丈夫? 私を庇って攻撃受けてくれたでしょ?
ライナー:あのくらいどうってことありませんよ。それが俺の仕事ですから。
シュレリア:ごめんね・・・本当は、私がみんなを護る立場なのに・・・。
シュレリア:もっとしっかりしないとダメだね、私。
シュレリア:オリカさんとミシャのコスモスフィアは、もう全部見たみたいね。
ライナー:ええ。色々あって大変でしたけど、いろんな一面を見れて良かったと思います。
シュレリア:・・・私だって、面白い世界をいっぱい見せられるんだからね。
ライナー:い、いや、そんなところで張り合わなくても、シュレリア様は十分・・・すごいですから。
シュレリア:すごいって・・・何が?
ライナー:いや、それは・・・全てですよ、シュレリア様の全てがすごいんです。
ライナー:第一・・・シュレリア様は、塔の中にもう一つの世界を創り出せるじゃないですか。
シュレリア:・・・そうだけど・・・あれはウソの世界だもの・・・。本当の私の世界じゃない・・・。
ライナー:大丈夫ですって。シュレリア様は、現実世界だけでも十分すごいですから!
シュレリア:だから、何がすごいの!
ライナー:いや、それは・・・いろいろ。
シュレリア:本当は全然すごくないくせに・・・。もういいよ。
ライナー:そうだ、一つ気になってたんですけど、シュレリア様とメイメイってどんな関係なんですか?
ライナー:いや、何か変な寝言言ってたのが気になったからさ・・・。
シュレリア:ち、違うよ! 変な誤解しないでよね!
シュレリア:ただ、その・・・ほ、本の趣味が合うから・・・。
ライナー:どんな本なんですか?
シュレリア:ひぇっ!? そ、それは・・・
シュレリア:・・・塔の最重要機密。
ライナー:い、いきなりどうしたんですか?
シュレリア:だって、この短期間でオリカさんやミシャのコスモスフィアの深いところまで潜ったんでしょ?
シュレリア:アレって凄いことなのよ? 普通、自分のコスモスフィアの深いところはそう簡単に見せたがらないもの。
シュレリア:ライナーはダイブされることは無いけど、どんな気持ちかはわかるでしょ?
ライナー:ま、まあな。ある意味、敵と戦うのより怖いと思うぞ。
シュレリア:そうね・・・。ライナーはそれを三人もクリアしちゃって・・・。
シュレリア:きっと伝説のダイバーとして語り継がれると思うよ。
ライナー:いっ! なんか微妙に恥ずかしいな・・・。それに、そんなの語り継がれませんよ!
シュレリア:語り継がれるよ。だって、私が末代まで語り継ぐんだもの。
ライナー:し・・・しまった・・・そう来たか!